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足でふみゅふみゅ♡ 3

続きを更新しました。


足でふみゅふみゅ♡ 4 に続きます
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「俊介って、変態なんだね」


 開口一番、葉月はいら立ちをぶつけてしまった。                            

 ある程度のいたずらなら、目をつぶるだろう。ものには限度があった。よりにもよって、乙女の秘所を覗かれてしまった。残念なことに、自分はやさしい人間ではないのだ。相手を責めたところで、なんの解決にもなりはしない。                                                 
 それは分かっている。                                         

 ただ感情が先走ってしまうのだ。葉月もまだまだ子供だった。あまりに情けなくて、自己嫌悪におちいってしまう。

――朝から、すばらしいイベントね……男の人が憧れるんでしょうけど、私は納得いかないな。

 学校の裏庭はうす暗かった。

密集した木々が空高く伸び、日射しををさえぎっている。しめった空気に、水気をおびた土。
一人で歩くのには、勇気が入りそうな場所だ。鳥の鳴き声がやたらと響いている。すみわたった空気が、唯一の救いだった。

「……返す言葉もないよ」

俊介はげっそりとへこんでいた。低姿勢をたもち、あわせた両手で謝っている。

「俊介も年頃の男の子だし、女性に興味をもつのも当然かな。でもね、ちょっとはわきまえてほしいんだよね。見られる私は恥ずかしいし、あんまりいい気分はしないんだよ。そこのところを分かってほしいの。うん、もちろん私のわがままだよ。この台詞は、最初から最後まで私のエゴでできてるの。そもそも女性のあそこはね、子供をつくる大事な場所なんだよ。神聖なの、ロマンチックなの。大好きな人にささげるのが、夢なのよ。それなのに俊介ときたら、いやらしい目で見つめてね。乙女心をあなどらないでよ……もう、ヘンなこと言わせないでね」

 葉月はほっぺを両手で挟んで、くねくねと身体を踊らせてしまう。官能的な妄想にふけり、将来の婚約者と唇をかさねあう。ふわふわと身体がかるくなり、目のまえがピンク一色にそまった。ラブリーなハートが飛びかっている。胸がくすぐったくて、ふんわり幸せな気持ちにひたれる。

――私、こんなとこでなにしてたんだっけ?

 当初の目的を忘れて、しばらくの間にやけっぱなしだった。

 突きささる視線が、ふいに気になる。
 自分の世界から帰還してみると、眼前には俊介がいた。身じろぎ一つしなかった。目を点にした俊介は、その場にかたまっている。                                          

 葉月はコホンッと咳払いをして、俊介にむき直った。うっかり力説してしまった。一先ず、ごまかすことにする。                                                 

 たまに妄想癖がはげしくなって、自分でも持て余しているのだ。

「あぁ……応援してるよ」

「うん、応援しててね」

 葉月はにこっと笑顔をつくった。さりげに俊介がジト目を送ってくるのは、気付かない振りをしてやりすごした。

「結論として、僕はエッチな好奇心を控えればいいのかな」

「その通りだよ」

「今度から……風のある日は気をつけるよ。じゃあ」

「待ってよ」

 しゅたっと片手をふって去ろうとする俊介を、見逃すつもりはなかった。俊介の肩をつかんで、無理やり押しとどめる。肩越しに振り向いた俊介は、困惑していた。

「やっぱりダメか……そう簡単にはおさまらないよね」

「当然でしょ。私のターンはまだ終わってないの」

「熱弁をふるう葉月さん、素敵だったよ」

「どうもね。それを引き合いに出すのは、もう禁止だからね」

「けっこう印象的だったんだけどね。ぜひとも、学校中に広めたいぐらい……」

 作り笑いを浮かべた葉月は、ただひたすら無言をつらぬいた。俊介は表情をこわばらせて、徐々に委縮していく。

「……それって、脅迫だぞ。べつのやり方でお願いしたほうが、僕も承諾しやすいんじゃないかな……?」

「じゃあ、誘惑するようにお願いしてみようか。身体を密着させてね」

「そんな友好的な雰囲気には見えないよ……洒落にならなそうだから、遠慮しとく。誰にも言いふらさないことを、ここに誓います」

「とてもじゃないけど、信じられないよ……口だけなら、なんとでも約束できるよ」

「……俺はどうすればいいんだ?」

「成り行きに身を任せれば」

 低姿勢に謝ってくるのが、なお癇に障る。                               

 行きすぎた妄想癖を、一方的にさらしてしまった。自分が間抜けじゃないか。俊介がおそってくるように見せかけた写真でも、取ってあげたい。俊介の恥ずかしい姿をこの目に焼きつけないと、気がおさまりそうになかった。

――理不尽だよね。

まだまだお子ちゃまな葉月だった。

「そこはとなく悪意を感じるんだけど……」

 冷や汗をたらす俊介は見物だった。

 俊介に手がふれる寸前、不気味な音がかすれる。葉の生い茂った上空から、なにかがざわざと鳴りひびいていた。四方八方、いろんな場所から聞こえてくるのだ。様々な種類の鳥たちが合唱をはじめた。あざわらうような、カラスの鳴き声まで混じる。

 森の明度が、うっすらと闇色をおびた。

 冥府にいざなうレクイエムを思い起こす。

 全身にざわざわと怖気がはしった。手足の体温が冷たくなり、ちょっとした違和感にも過敏に反応してしまう。すこしの変化も突きとめるように、音源に視線をせわしなくはり巡らせた。

「お、おい。急にどうしたんだ?」
 葉月の異変を察知した俊介は、手を差し伸べてきた。葉月はそれを払いのけると、両耳をぎゅっとふさいでしまった。

 オカルト関係は苦手だ。幽霊とかは科学で否定されているんだろうけど、恐怖心はすこしも薄れてくれなかった。姿かたちが隠れているだけで、ホントはすぐそばに未知の存在が息づいている。得体のしれない音を聞くと、そんなふうに怯えてしまうのだ。

ほの暗いところでは、よけいに警戒してしまう。もはや度の行きすぎた習性だ。

 冷静な俊介は、葉月をいぶかしんでいる。俊介の倒錯的な行動はもうどうでもよかった。そんなことに気を回す余裕なんて、今の葉月からは失われている。

 ざわめきはより大きくなった。轟音が沈黙をやぶり、葉月の神経がぷちっと途切れてしまう。

「もう……やめてぇ……」

 葉月はへなへなとへたり込んでしまった。地面は微妙にしめっていた。スカートに土がくっつき、ひんやりした感触がお尻にあたる。下半身をうち股ぎみに投げだし、脱力してしまう。

「えっえっ?この状況はなんなのさ」

「おっ、お化けが出たよ……ポルターガイストだよ」

「お化け?……とりあえず、落ちついてくれ!」

「私……こういうのダメなの」

「たんに鳥が飛び立とうとしてるだけだって」

 俊介は葉月の肩をゆさゆさと揺さぶってくる。                             

 ぐるんぐるんと回っていた景色が、元の形を取り戻しはじめた。緑の葉、すんだ青空。輪郭や色彩が、きちんと網膜に描かれる。

 仰いだ空からは、羽の生えた影が無数にふってくる。ばざばざと翼をすべらして、彼方に飛んでいった。さわがしい翼音はちいさくなり、奇妙な現象は終わった。                            

 森林は静寂を取り戻した。

「なに……あれ?」

「鳥の群れだよ」

「鳥……ねぇ」

 数えきれないぐらいの集団だった。あれほどの鳥が学校にいるのも、それはそれで不思議だ。目下の危機は去ったけど、釈然としないしこりが残った。

「えーと……葉月さんの意外な一面だったな……って、言ってみたり」

「ホント苦手なのよ……ああいうのは」

「立てる?そのままだと汚れるしさ」

「それもそうね」

 足に力を入れるけど、うまく動かせなかった。体に無理やり鞭打つ。せいぜい腰がぴょんぴょん跳ねるだけで、立てなかった。下半身の感覚はマヒしてしまい、地面にへばりついたままだ。

――ど、どうしようかしら。

 普段からよく見られるように、努力はしてきたつもりだ。勉強もそれなりにやってきたし、スポーツも練習した。人前での振る舞いもつま先まで意識してきた、失敗もするけど。                    

 全身から、さぁっと血の気が引いた。                                 

 科学の時代でオカルトに怯えるなんて、時代遅れもいとこだろう。情けなかった。醜態をさらした葉月に、幻滅していないだろうか。今までの積み重ねが、水の泡になってしまう。

「ほらっ、楽に立とうよ」

 予想に反して、あたたかい眼差しが降り注いでくる。
 俊介がにっこり手を差し出してきた。                                 

 筋肉の緊張がほぐれていく。葉月は下りてきた手をつかみ返し、よろよろと立ちあがった。ごつごつとした手は、意外にたくましかった。俊介とのつながりから、ほのかな甘酸っぱさがわいてくる。

「……紳士なのね」

 俊介は苦しげに思案にくれた後、皮肉っぽく唇をつりあげる。

「惚れた?」

「はいっ?まるで脈絡がつかめないよ」

「いわゆるつり橋効果」

――つり橋を男女で渡ったら、惚れやすいってあれね。

 俊介は呑気に笑っているし、本気で言っているようには感じられなかった。たぶん葉月を励まそうとしているのだろう。心配されるのは性にあわない。俊介のフォローに乗ろうと、葉月はわざとらしくため息をついた。

「はぁ……これぐらいでいちいち惚れてたら、大変な毎日よね」

「だな」

「なんかもう、やる気を削がれちゃったよ。私、なんで俊介を連れ出したのかしら?」

「さぁ?そんな些細なことよりも――はい、これ」

 俊介はズボンのポケットをまさぐり、ハンカチを取り出した。シンプルなデザインで、きれいに整っている。使用した形跡が見うけられなかった。そのハンカチを葉月にさし出す。

「落ちついた感じのハンカチね」

「これで、土を拭きとりなよ」

「洗いたてでしょ。自業自得だし、気をつかわないでいいよ。それに、ハンカチだったら持ってきて……」

 バッグのポケットをまさぐってみるけど、なんの感触もなかった。いつもだったら、決まったところにハンカチを入れているのだ。他の場所も、それらしいものは置いてない。

「せめてもの罪滅ぼしだよ。恩に着せるような真似はしないから」

「……好意に甘えるね」

「どうぞ。なんなら、拭いてあげようか」

「過保護ね。これでも私、人並みの家事はできるよ」

「いや~、きれいな足に触れたかったんだよ」

――足なんだ。

 注目をあびるのは、好きでも嫌いでもなかった。ただ自分の身体を見つめられるとなると、戸惑いが生まれてしまう。                                                

 高校生になってからというもの、身体は丸みをおびていくのだ。その影響に、男性からよくいやらしい視線をむけられるようになった。最近、そういうのが気になりつつある。俊介への見方は変わらないけど、やっぱりやり切れなさはあった。

「煩悩のかたまりね……やっぱり、土がついたままでいいかしら」

「冗談だってば」

 俊介はあせあせと取りつくろった。葉月はジトっと俊介に視線をはわせると、おもむろにハンカチを受け取る。

 洗剤の残り香がほのかにただよってくる。不思議とわるくない匂いだった。

「ふざけるんなら、もっと徹底しなくちゃ。だいたんに胸をわしづかみにするとか」

「そんな勇気ないって」

「口のわりには、チキンなのね」


足でふみゅふみゅ♡ 4 に続きます
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長谷川名雪

Author:長谷川名雪
初めまして、長谷川名雪と申します。
シナリオライター・小説家などを目指して修行中です。
このサイトでは主にエッチぃな作品を載せていきます。
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